人生を〈半分〉降りる: 哲学的生き方のすすめ (ちくま文庫 な 27-4)

著者 :
  • 筑摩書房 (2008年1月9日発売)
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カントを専門とする哲学者が隠遁の思想を語ったもの。全編を貫くニヒリズム。セネカ、スピノザ、カントから陶淵明、兼好法師まで縦横無尽の引用が光ります。著者のヘンクツぶりも含めてこれぞ知識人!といった趣。

リア充的なるものに堂々と背を向けた、哲学的生き方ガイド。

○泰西古代の哲人は「隠れて行きよ」と訓えました。東洋では隠者を位置づけて「小隠は山林に隠れ、中隠は市井に隠れ、大隠は朝廷に隠る」とか申します。

○べつに大学や会社に辞表をたたきつける必要はなく、月給だけもらってなるべく好き勝手なことをする、そのためには細かな計算をして、「必要がない」と思ったことからはさっさと手を引く。そして、できるだけ人づきあいを制限して孤立して、「自分が今生きておりもうすぐ死ぬこと」を考える。たえずこのことを考える。

○人生においてせいぜい二番目に重要なことにすべての時間を捧げて、いちばん重要なことをおろそかにする。にもかかわらず、自分は充実した豊かな人生を送っていると思い込みがちになるだけに、ますます危険であるといえましょう。

◆感想
隠遁モノでは家宝級。やることを減らし、読む本を減らし、付き合う人を減らし、「なにもしない」ことが隠遁の完成形であるように思います。積極的怠惰。

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2014年3月13日
本棚登録日 : 2014年3月9日

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