山の神: 易・五行と日本の原始蛇信仰

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  • 人文書院 (1989年8月1日発売)
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古代の英雄ヤマトタケルノミコトは、山の神によって死に至らしめられた。その場面における山の神の姿は、日本書紀では蛇、古事記では猪である。よって、山の神の神格を持つのは蛇と猪の二者。そして山に棲む数多くの獣のなかで、ひとり猪のみが神とされた理由は、易・五行のなかにみるしかない。…というあたり、どうにも納得いかない。記紀の記述からは、「蛇と猪は山の神とされていた」ことがわかるだけなのに、「蛇と猪のみが山の神とされていた」ことを前提に話を進めているからだ。まずここを立証してくれないと、その後の文章(全体の三分の一くらい)ぜんぶ無駄である。
他にもつっこみどころは散見される。そもそも、民間レベルでこんな理屈っぽい信仰を持つか、大いに疑問。しかしこの本に対する不信感を決定づけたのは、「人類の祖たちに語り継がれていたに違いない恐竜の記憶」という言葉であった。人類は恐竜と会ってないよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 民俗学
感想投稿日 : 2010年6月20日
読了日 : 2010年6月19日
本棚登録日 : 2010年6月19日

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