行動心理捜査官・楯岡絵麻 vs ミステリー作家・佐藤青南 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社 (2021年5月11日発売)
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本棚登録 : 504
感想 : 41
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楯岡絵麻シリーズなのだと思うけど、今回は少し思考を変えた作品。
タイトルもこれまでとは変えているが、内容はシリーズと変わらない。
ただ今回絵麻が対峙するのは、何と作者自身。
作者自身を小説に登場させるパターンは多々あるが、自分を容疑者として、小説に登場させてしまうというのに、ちょっとびっくり。
しかも、自分のことを「作品は多数あるが、賞レースには名前が上がらない」とか言ってしまったり、オンラインサロンで宗教まがいの活動をしていたり、作品自体はそのオンラインサロンの会員に書かせていたり、とても非道な人間であると表現している。
個人的には作者の作品はほとんど読んでいるが、周囲に「佐藤青南」と言って、通じる人がいるとは思えないだけに、妙にリアル…
その作者も絵麻同様、相手のマイクロジェスチャーなどを読み取れるキネシクス使いである為、取り調べでの絵麻とのやり取りは読みごたえがある。
事件そのものよりも、心理的描写に特化した作品であり、取り調べ室で頑張る絵麻と、現場で必死に証拠を探す筒井たちとの連携もあって、ずっとこのシリーズを読んでいるファンには堪らない内容だった。
刊行する作品数が多いが、作品の出来にムラがある…
この作者さんに関して、このような印象を受けたことはないが、思い当たる作者さんは確かにいる…

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 警察物
感想投稿日 : 2021年5月15日
読了日 : 2021年5月15日
本棚登録日 : 2021年4月18日

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