挑戦する脳 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社 (2012年7月13日発売)
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本棚登録 : 799
感想 : 87
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記録的な巨大台風が日本列島を襲う最中この本を読み、少し前に出版された本ではあるが今ここに生きた思想であることを感じた。
個々人の人生のみならず社会は予測できない物事で混とんとしている。過去もそうであったのかもしれないけれど今の時代は地球規模での出来事に社会も個人も巻き込まれている。「待ったなしの暴風雨のような状況に、私たちは置かれてしまっている」。同じ文脈にとどまっていては対処しきれない。新しい文脈に自らを置き、直面する課題や苦境を自らの必然と受け止め、そこから新たな対処法を創造し続けなければならない。これが「挑戦する」ことであり、有限で不完全な生を備える私たちは、この「挑戦する」という行為をもって自らの脳のメカニズムを最大限に活かし、声明を輝かせることができる。
本書の中では「自由」についても問うている。脳科学からいうと、私たちのいう「自由意志」はほぼ幻想。しかし認識上、自由という感覚が自分自身の主体性を保持することに欠かせない。
文脈の外に出ることがまだまだ抑えられがちな日本社会で、そこにはびこるマインドセットの変革を求める一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2019
感想投稿日 : 2019年10月13日
読了日 : 2019年10月13日
本棚登録日 : 2019年10月13日

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