幽霊塔

著者 :
  • 岩波書店 (2015年6月6日発売)
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本棚登録 : 1018
感想 : 89
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★そこでは、この世のあらゆる不可能が可能にされていたといっても過言ではない。(p.2)

■メモ
・江戸川乱歩さんらしい大風呂敷と「しゅうー」と最後にしぼんでいく感覚。
・いちばんの売りは、やはり巻頭にある宮崎駿さんのカラーページでしょう。
・昔、春陽堂文庫の江戸川乱歩全集的ななにかを読破しているんでたぶん読んだことはあるんやろうと思うんですが、まったく覚えてまへん。ついでに黒岩涙香の『幽霊塔』も青空文庫で読んでますが微かな雰囲気の記憶だけでこちらもほぼ覚えてなかったんでどんくらいちゃうんか曖昧な感じです。

【時計塔】渡海屋市郎兵衛が建てた時計屋敷。三階建西洋館。いろいろ仕掛けがあるもよう。建てた渡海屋自身が脱出でけへんでどっか内部で死んだゆう噂があり、ひとつ前の所有者お鉄婆さん殺害事件が起こった。ところが、居住空間として以外、出番がほとんどあらへんです。せっかく題名になってんのにもっと活躍してほしかったなあ。物語の大半がこの中のできごとって感じでもよかったんやないかなあ。ある意味看板に偽りありやなあ。
【北川光雄】主人公の「私」。高等遊民で働く必要なし。うらやましいこって。時計塔を手に入れた元判事、児玉丈太郎の甥。正義漢ではあるんやけど短慮で軽薄な言動、とてもやないけど信頼でけへんタイプです。野末秋子に惚れる。顔のよさと心根のよさを混同するタイプ。婚約者として三浦栄子がいるが性格が悪く図々しいので嫌っている、というか、好みのタイプではないようで、そこに秋子さんとの出会いがあったもんやから…
【野末秋子】物語の「謎」部分を担う人物。その「使命」とは? お鉄婆さん殺害事件との関わりは? その正体は? 左腕の腕輪は? いつも猿を連れてる肥田夏子との関係は? 結婚を強要してきている弁護士黒川太一との関係は? 蜘蛛屋敷「養虫園」のあるじ岩淵甚三との関係は? 結婚できないという理由は? 彼女の「神様」とは? なんでもかんでも秘密にせんと気がすまへんタイプ。ある程度ぶっちゃけてまえばええのにと思うたり思わんかったり。ま、それではお話にできへんか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ふつう
感想投稿日 : 2023年12月15日
読了日 : 2023年12月15日
本棚登録日 : 2023年12月15日

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