話虫干

著者 :
  • 筑摩書房 (2012年6月7日発売)
3.19
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本棚登録 : 673
感想 : 148
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【感想】
・なんやこれ? と思った。おもろいのかおもろないのかようわからん。ま、とにかく「ヘンな話」。

【一行目】
 何かに囚われた。

【内容】
・夏目漱石の「こゝろ」が改編されている。それを補修しようとする図書館員たち。一方、登場人物たちは・・・

▼簡単なメモ

【淡い日々】《ひょっとしたら私は人生で一番の淡い日々を過ごしているのではないかと。/ 過ぎてしまえば何も残らないような浅い思いが続く日々ではあるものの、後から思えばその浅さが、淡さが鮮明に残るような、言葉として摑み切れない色合いで描かれた一枚の西洋画のような日々。》p.55
【糸井馨/いとい・かおる・A】友人。神戸の呉服屋の息子で裕福。背が高く彫りの深い顔で時おり髪の毛全体が茶色くなりまた黒に戻っていく。頭の回転が速く、優しく、目端も利いている。涙もろく感情が昂ると泣く。不意に現れるときいつも風が吹く。叔母の家に下宿しているがその叔母さんが静さんのお花の先生。
【糸井馨・B】馬場横町市立図書館の新入り。
【エリーズ】ヘルンと知己のようだ。森鷗外のエリス? 超絶美少女。順応性が高くすぐに日本の生活に溶け込んだ。
【京子】桑島の腹違いの妹。十七になったばかり。京都にいたが明治女学校に入るため東京に来て旧知の夏目先生のお世話になった。そのせいで桑島と京子二人ともども妹尾家に下宿することになった。
【桑島芳蔵】圖中の幼馴染み。円らな瞳。優れた独裁者による統治が理想だと考えている。
【思考】「考えても詮無い事だろうが、思考を止めてしまっては拙い」p.209
【妹尾節子】圖中を下宿させてくれている戦争未亡人。年齢は三十代後半から四十あたり。シャープなイメージで鋭さと厳しさを持つ。
【静さん】妹尾静。節子さんの娘。母とは反対で丸っこい性格。
【圖中和生/となか】語り手の「私」。糸井や夏目になぜか現実感を感じられないことがある。
【夏目金之助】夏目漱石。英国留学から帰国したばかりで圖中の下宿の近くに居をかまえた。桑島の父と縁があり桑島も知人だった。落ち着いた紳士に見えるが実は《些細なことで気が動転してしまう類いの人間なのではないか》と圖中は思った。
【日本の良さ】「日本は益々西欧化への道を辿っていくだろう。そうなれば、日本の良さなどというものに日本人は気づかないまま、それを捨て去っていくからさ」p.89
【榛美智子/はしばみ・A】静さんのお花の先生。糸井の叔母。
【榛・B】馬場横町市立図書館の副館長。才女のほまれも高い。ギャグは面白くない。
【話虫】物語の中に入り込んで物語を勝手に変えてしまう何か。
【馬場横町市立図書館】和書の所持数が多い図書館。
【火鉢くん】エリーズを圖中、桑島、糸井に引き合わせ、守るよう依頼した、?
【ヘルン】ラフカディオ・ハーンのことだろう。夏目漱石がハーンの後がまになったという話は聞いたことがあるので。
【ホームズ】シャーロック・ホームズ。いわずとしれた名探偵。ロンドン時代の夏目の知己らしい。たしかに時代は重なっているようだし、二人が共演するミステリも読んだことはあるが。
【松長直次郎・A】圖中と桑島が神戸で出会った仙人のような老人。
【松長直次郎・B】馬場横町市立図書館の館長。見た目は仙人。
【虫干し】東京バンドワゴンシリーズでは年中行事のようになっている古書の虫干しだがこちらでは少し違う。
【夜】《夜より朝の方が賢い》p.202

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ふつう
感想投稿日 : 2021年11月25日
読了日 : 2021年11月25日
本棚登録日 : 2021年11月25日

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