社会契約論 (岩波文庫 青 623-3)

  • 岩波書店 (1954年12月25日発売)
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本棚登録 : 1613
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ルソーの社会契約論、ようやくしっかり読む時間ができました。本書は発売当初は各国で発禁処分になり、ルソー自身もかなり迫害されたということですが、ルソーの死後、本書に掲げた思想はフランス革命に結実します。その意味で、わたしもフランス革命を主導した人々の気持ちになって本書を読みましたが、ルソーの論調は冷静な中にも非常に熱いトーンを感じます。

中身については思っていたよりもわかりやすかったです。唯一わかりづらかったのは、後半に古代ローマ帝国とのアナロジーで政治制度を議論している箇所で、これはローマ帝国の知識がある程度ないとわかりづらいとは思いました(その点注釈は役に立ちました)。人間は本来自由と平等の中で生まれてきた。しかし社会契約を結んで社会状態に入ることで、安全などを得る代償として自由と平等は失われていった。しかし自由と平等と求める欲求は社会状態の中でも消えることはなく、それを実現するためには人民の「一般意志」が主権者となることである。本書を一言で言うならこういうことではないでしょうか。多くの人に影響を及ぼした思想書に触れられて、なにか知的レベルが上がった気がしました。必読書かと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年4月30日
読了日 : 2017年12月28日
本棚登録日 : 2023年4月30日

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