コインロッカー・ベイビーズ(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1984年1月9日発売)
3.64
  • (618)
  • (513)
  • (1222)
  • (102)
  • (28)
本棚登録 : 5340
感想 : 505
5

過激ではない、フラットなリリックと綺麗なリズム、これは音楽だ。流れるように読ませる言葉の連なり、静かで刺激的な物語、キクとハシとアネモネの目の透明さ、叫び、イメージを喚起させられるのではなく、気が付けばイメージの中に取り込まれている、それはあの余情的な音楽に似ている、遠い追憶、子どもの頃にみた風景、心臓の鼓動の音、トロイメライ。
広い広いコインロッカー、どこまで行っても超えられない壁がある、箱庭のような場所にいる。あるいは鰐の王国、天王星。だから壊す、壊しちゃいけないものだという意識が、破壊を命ずる。それは生きろという命令に等しい。永遠に失われることのないビート。俺達は、コインロッカー・ベイビーズだ。聞こえるか? 僕の、新しい歌だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: motoiの本棚
感想投稿日 : 2014年11月23日
読了日 : 2014年11月23日
本棚登録日 : 2013年6月30日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする