歴史哲学への招待: 生命パラダイムから考える (MINERVA歴史・文化ライブラリー 22)
- ミネルヴァ書房 (2013年4月1日発売)
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感想 : 7件
現代における「歴史哲学」の入門書である。といっても、歴史哲学史的な内容ではなく、副題にあるとおり「生命パラダイムから考える歴史哲学の本」である。すなわち、複雑系に基づいた歴史哲学の書、といってよいと思う。マルクス主義歴史学のような歴史における法則性を否定し、歴史の一回性と偶然性、複雑性を強調し、「原因―結果」といった単線的な因果関係を否定する内容となっている。
しかしもし「原因―結果」という単線的な因果関係を否定するのだとしたら、歴史叙述はどうしても「前から順番に書いて、読んでいく」という形式を取るのだから、そもそも歴史は叙述できないということになってしまわないだろうか。
もうひとつ、この本の疑問は「歴史」が、「過去そのもの」の意味であったり、「誰かに認識される過去」であったり、「叙述される過去」であったり、さまざまな意味で使われているように思える。自分の叙述の都合にあわせて、「歴史」という言葉の意味内容を違えていくことは、果して適切なのか。そのことが疑問であった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2016年1月8日
- 読了日 : 2016年1月8日
- 本棚登録日 : 2016年1月8日
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