御書物同心日記 虫姫 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2005年6月15日発売)
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本棚登録 : 79
感想 : 13
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ときは江戸時代、上様のご書物を預かる御書物方の同心を主人公とした、ちょっとした事件を扱う物語。主人公は本好きで、まさに仕事が性に合っているようである。それでも江戸時代の日々変わらぬ繰り返しの作業は退屈なよう。破損した本を修理して、時期ごとに虫干しして、そして寝ずの番(夜勤)。同僚とのくすりとするやり取りや、ちょっとハメを外すときのスリル感は面白い。また、事件に対して、眼が冴えるような推理はないが、周りの人々のやり取りから、少しずつ核心に近づいていく。人々とのやり取りや気持ちが丁寧に描かれ、その場の会話を見ているような気持ちになる。江戸の人々の気持ちを通い合わせる様子が想起され、江戸に生きたいと思わせる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2013年2月4日
読了日 : 2013年2月2日
本棚登録日 : 2012年9月30日

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