日本の近代政治史では「宮中」という勢力がしばしば登場するが、本書では明治維新後における宮中勢力の成り立ちから大正・昭和にかけての変容について述べられている。内閣や軍部といった各機関が多元的に行動してまとまりを欠くなか、天皇の「側近」がどのような政治意思で行動したのか、時代に沿って論じられている点は興味深い。ただ、概要の説明なしに事件や人物の名前が登場するので、「日本史用語集」が手許にないと少し混乱してしまう。西園寺公望や牧野伸顕、木戸幸一といった人物がなぜ側近として登用されるようになったのか、そもそもの解説があればもっとよかったかも。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新書
- 感想投稿日 : 2012年8月2日
- 読了日 : 2012年8月1日
- 本棚登録日 : 2012年8月1日
みんなの感想をみる