戦略の比較論、戦略論の有機的結合とその解説です
本書は3つの構成からなる
1 孫子の本質
2 戦略の全体観 ポバーの多元的世界観(物理的、心理的、知性的)
物理的アプローチ クラウゼヴィッツの物理的世界 ①政治、②暴力、③偶然性 特に暴力★
心理的アプローチ リデル・ハート メタ戦略グランド・ストラテジー 下部戦略 (①直接アプローチ戦略、②間接アプローチ戦略)
知性的アプローチ ロンメル
3 キュービック・グランド・ストラテジー (グランドステージ+物理的世界、心理的世界、知性的世界)
ケーススタティ ①ハンニバル、②ナポレオン、③孫子
⇒ 新戦略 キュビズム ①多元的世界観と戦略の不条理、②多元的アプローチ、③批判的アプローチ、④マネージングフロー
気になったのは以下です。
■孫子
最高原理 戦わずして勝つ 戦争をしないで相手の意図をくじき、目的を達成する
直接戦闘 彼を知り、己を知らば百戦あやうからず、善く戦う者は、人を致して人に致されず
⇒ 敵の状況に臨機応変に変化して戦う、彼我の兵力に応じて戦法を変える、もしくは、戦わない
リーダを待つ危険 ①勇気だけで戦うと殺される、②勇気ないリーダは捕虜になる、③短期なリーダは計略にかかる、④清廉潔白ナリーダーはわなに陥る、⑤兵士に優しいリーダは兵士の世話で苦労する
■戦略の全体観
カール・ライムント・ポパーの多元的世界観
物理的世界、心理的世界、知性的世界の相互作用からなる
その上位に、キュービックグランド・ストラテジー(立体的大戦略)を設ける
物理的アプローチ クルゼヴィッツの戦争論 戦争は、①政治、②暴力、③偶然性 の3つからなる。
⇒戦争論は、②暴力に光を当てて、その実戦にもとづいた内容を考察する
⇒戦い勝つことが最も重要である、(直接攻撃、重点攻撃、兵力集中)
心理的アプローチ リデル・ハートの戦略論―間接的アプローチ 大戦略のもとに、直接的アプローチ(暴力、武力をもちいた戦略)と、間接的アプローチ(非暴力、非武力の戦略)
⇒最小予期線を攻撃する間接的アプローチ、最小抵抗線を攻撃する直接的アプローチ、両者を体系的に結びつけるグランド・ストラテジー(大戦略)
知性的アプローチ ロンメル 電撃戦 偽装、後方攪乱、牽制、戦闘前のイメージ戦略ーロンメルとたたかえば必ず敗れる
⇒騎士道精神、戦場の聖者、人道的な将軍⇒敵はロンメルを尊敬するとともに、過大評価をしていた
■キュービック・グランド・ストラテジー
カール・ライムント・ポパーの多元的実在論がベース 戦略⇒戦術⇒作戦
戦略不条理を回避するためのアプローチ⇒物理的、心理的、知性的、3つのアプローチを、弾力的に運用する
第1原理、3つのアプローチを行うこと⇒多元的アプローチ
第2原理、3つのアプローチを絶えず変化させること⇒批判的アプローチ⇒常に、3つのアポロ―チを確認し、誤りを排除し、絶えず洗練し続けていく
クリティカル・マネージング・フロー 組織の変化と、環境の変化に対して、誤りを検知し、修正を行うためのフィードバックを意味する
目次
第1章 旧陸軍将校・山本七平と孫子の思想
第2章 「戦略の不条理」発生のメカニズム
第3章 クラウゼヴィッツと物理的世界の戦略論
第4章 リデル・ハートと心理的世界の戦略論
第5章 ロンメルと知性的世界の戦略論
第6章 「戦略の不条理」回避のメカニズム
第7章 新しい戦略の哲学―「戦略のキュビズム」
ISBN:9784334035297
出版社:光文社
判型:新書
ページ数:248ページ
定価:760円(本体)
発行年月日:2009年10月
発売日:2009年10月20日初版第1刷
- 感想投稿日 : 2023年11月26日
- 本棚登録日 : 2023年6月28日
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