死は存在しない ― 最先端量子科学が示す新たな仮説 (光文社新書)

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  • 光文社 (2022年10月19日発売)
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本書の主旨は、ゼロ・ポイント・フィールド仮説にて、「科学」と「宗教」の間にある深い谷間に「新しい橋」を架けることです。

「意識」を科学が「説明ができない」ことを理論的に発展させることによって、新たな宗教である「科学」と、これまでの古い「宗教」とを「ゼロ・ポイント・フィールド」にて説明しようとする
田坂広志氏の「大統一場」理論なのです。発想はおもしろいし、そうであったら、閉ざされた死を、明るい場に出そうとする。たのしいと感じました。

・「死」をめぐる3つの視点
 ①宗教的な視点 死後の世界、チベット死者の書、エジプト死者の書、キリスト教天国、仏教極楽浄土、イスラム教ジャンア ⇒ 科学的には立証できていない
 ②科学的な視点 死後の世界はない、脳も意識も停止し、すべてが無に帰する ⇒ 体験について科学的に究明、説明がなされていない
 ③医学的な視点 生き返ったものの死後の世界の体験、臨死体験、幽体離脱 ⇒ なぜ、そうした不思議な体験が起こるのかが、科学的に説明されていない。
ようは、死後の世界については、半信半疑ではないだろうか

・「科学」というものが、現代における「最大の宗教」となっている ⇒ でも 現代科学ですら、「意識」の本質を明確に説明できていない ⇒ それは、現代科学は、「唯物論的科学」だから

・「唯物論的科学」には、3つの限界がある。
 ①要素還元主義の限界 要素を小さく分解し、それぞれの要素を分析し、総合すればその対象の性質をすべて解明できる ⇒ 複雑系は、対象の性質の理解を阻んでいる
 ②物質証明の限界 量子論のレベルでは、物質はそもそも、粒子と波動の二重性をもつ 物質という存在が消えていく
 ③説明不能の限界 現代科学にはなぜ、そうしたことが起こるのかを説明できない5つの問題がある
   自然定数の奇跡的整合性、量子の絡み合いと非局在性、ダーウィニズムの限界、生物の競う能力の謎、神経の伝達速度と反射運動の謎
 ⇒現代科学は、物質から意識というものがどのようにして生まれてくるのかを説明できていない

・不思議な現象とは 視線感応、以心伝心、予感、予知、占い的中、既視感(デジャヴ)、シンクロニシティ ⇒ 現代科学では、「説明ができないものは、存在していないもの」

■ゼロ・ポイント・フィールド仮説とは この宇宙に普遍的に存在する「量子真空」の中に、「ゼロ・ポイント・フィールド」と呼ばれる場があり、その場に、この宇宙のすべての出来事のすべての情報が「記録」されているというもの

・量子真空とは、ビッグバンを起こせるほどの無限のエネルギーがひそんでいる空間である
・ゼロ・ポイント・フィールドには、波動の形で、宇宙全体の情報が記録されている ⇒部分の中に全体が宿る、一即多、多即一、「一粒の砂の中に世界を見る」

・意識には5つの階層がある
 ①表面意識 自我
 ②静寂意識 祈り、瞑想、もう一人の自分
 ③無意識 引き寄せの法則、直感、心の浄化
 ④超個的無意識 以心伝心、超我
 ⑤超時空的無意識 直観、シンクロニシティ、予感、予知、占い的中、真我

・ゼロ・ポイント・フィールドに繫がれば、アイデアが「降りてくる」「天啓のごとく与えられた」状態となる

・「神」「仏」「天」とは、ゼロ・ポイントフィールドに他ならない

⇒ ゼロ・ポイント・フィールド仮説こそが、「科学」と「宗教」の間に架けるべき新たな橋である。
⇒ 地球の前史がおわる アーサー・C・クラーク 「地球幼年期の終わり」

目次

序話 この本を手に取られた、あなたへ
第1話 あなたは、「死後の世界」を信じるか
第2話 現代の科学は「三つの限界」に直面している
第3話 誰もが日常的に体験している「不思議な出来事」
第4話 筆者の人生で与えられた「不思議な体験」
第5話 なぜ、人生で「不思議は出来事」が起きるのか
第6話 なぜ、我々の意識は「フィールド」と繫がるのか
第7話 フィールド仮説が説明する「意識の不思議な現象」
第8話 フィールド仮説によれば「死後」に何が起こるのか
第9話 フィールド内で我々の「自我(エゴ)」は消えていく
第10話 フィールドに移行した「我々の意識」は、どうなるのか
第11話 死後、「我々の意識」は、どこまでも拡大していく
第12話 あなたが「夢」から覚めるとき
終話 21世紀、「科学」と「宗教」は一つになる
謝辞
さらに学びを深めたい読者のために

ISBN:9784334046309
出版社:光文社
判型:新書
ページ数:360ページ
定価:920円(本体)
発売日:2022年11月30日4刷

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月27日
本棚登録日 : 2023年6月25日

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