古代日本を舞台に、夢解女の目を通して、持統天皇の秘密に迫るホラーファンタジー。
日本史上最強の女帝と称される持統帝を烈女、猛女と設定する創作は珍しくないが、本書では徹頭徹尾、冷血な鬼女として描写される。
それが却って人品の卑小さを裏付けてしまうのが惜しく、女帝の偉業と能力の高さを考慮すれば、実際は泰然たる器の大きな人物であったろうことが窺えるので、個人的にあまり評価したい作品とは言えない。
また、百人一首にも採られた著名な和歌から逆算的に創られた小説なので、独自の解釈の残酷さゆえに、あの鮮やかな歌を素直に味わえなくなってしまう弊害が残る。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説(ファンタジー)
- 感想投稿日 : 2015年9月2日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年9月2日
みんなの感想をみる