強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎 (2013年1月30日発売)
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ヒッグス粒子の発見によりその理論の正しさが示される「標準模型」、重力以外の電磁気力・弱い核力・強い核力を統一的に説明しようとする理論の全貌を解説する。「標準模型」構築の過程は、自分たちの根源を問う人類の叡智の積み重ねの歴史である。超弦理論(ストリング)を専門とする理論物理学者、「標準模型」を知り尽くした大栗先生による最新素粒子物理へのガイドブックである。

同じ新書による素粒子物理学の啓蒙書でありながら、村山斉さんの本に比べると、より本格的で骨太。数式の代わりに、理論物理学者たちがふだん議論している時のたとえ話や視覚的イメージを使う。より本質的にものごとを捉えるたとえである(その代表が南部陽一郎による自発的対称性の破れに、丸い体育館とその中に並んでいる人間を使う例)。

また村山さんの本が物質を構成する素粒子から始めるのに対して、大栗さんの本は「力とは何か」「質量とは何か」から入って、標準模型に至るアプローチ。したがって「場」の概念をきちんと導入する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2022年9月21日
読了日 : 2013年2月15日
本棚登録日 : 2018年10月7日

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