江戸をこよなく愛された杉浦さんの江戸レクイエムでした。彰義隊は、ビジョンも名分も軍略もない烏合の衆でした。これに飲み込まれる末端士分の若者たちの視線で、江戸が消えてしまう上野戦争の惨劇を描いています。「維新とは実質上、末期幕府が総力を挙げて改革した近代軍備と内閣的政務機関を明治新政府がそのまま引き継いだにすぎない」とは杉浦さんの醒めた近代史観です。文庫サイズではなく、大判で味わいたかったなぁ。
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- 感想投稿日 : 2022年12月9日
- 読了日 : 2022年12月9日
- 本棚登録日 : 2022年12月9日
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