短編6作はいずれも最初の思い込みが覆される設定となっている。社会の問題をえぐる目的もあるからか、暗くやり切れない内容が続く。そんな中で興味深かったのが2作目の「保護」だ。字面だけでは中年男と女子高生の交流としか思えないのだが、あるところでそれが『思いこみ』であると知らされる。でもやがて、それも勘違いだと分かる。登場人物の外見と話し方の描写から、読者は自分なりの映像を頭の中に結ぶ。固定観念というのは融通が利かないものなのだな、と思った次第。
最初から「どんでん返しがある物語」として読むと、衝撃が少ない。予期していないからこその「どんでん返し」だ。すべてリアリティがあって、綿密な取材があってこその内容だろうが、ちょっと物足りないのが残念だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本作家さ行
- 感想投稿日 : 2024年2月14日
- 読了日 : 2024年2月14日
- 本棚登録日 : 2024年2月14日
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