昔の記憶の片鱗がちらりとあらわれる瞬間がある。今回、「野の白鳥」でエリザがいらくさで王子たちの肌着を編んでいるところにさしかかると、あのときの「ちくちく感」がよみがえってきた。いまでは味わえない切ない痛さだった。
「豚飼い王子」は今初めて読んだのだが、幼いころならどんな風に感じただろう。王子と姫の物語としては珍しく、王子が振った形で終わるが、かなり深い話だ。本物を理解しようとしない姫の愚かさを表しているが、王子だって彼女を気を引こうとしてわざわざ物を「作って」いたのではないか。なんだか消化不良の感がある。子どものころなら、皇帝に見つかったところで笑って終わりかも。
幼いころの感覚を思い出させてくれる本だった。子どもへの語りを目的としているととのことで、とても読みやすかった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
神話・伝説・昔話
- 感想投稿日 : 2021年3月24日
- 読了日 : 2021年3月24日
- 本棚登録日 : 2021年3月24日
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