祈りの幕が下りる時

著者 :
  • 講談社 (2013年9月13日発売)
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東京葛飾区のアパートの一室で発見された女性の遺体。同じ頃、新小岩の河川敷でホームレスが殺害される。一見無関係に見える事件だったが、捜査を進めるうちに関連性が見え隠れする。
その後捜査線上に浮上した人物は、かつて失踪した加賀の母親と関係があった疑いも出てきた…

加賀が日本橋署に異動した理由や、失踪した母親を巡る謎が明らかになる《加賀恭一郎シリーズ》の中でも重要な位置付けの作品。私にとってもブクログレビュー登録100冊目となる記念すべき一冊。

「どれだけ無駄足を踏んだかで捜査の結果が変わってくる」ことを信条とする加賀ら刑事達によるひたむきな捜査により、少しずつだが確実に真相に迫る。“読ませる”筆力はさすがというか、もはや言うまでもないか。やがてミッシングリンクが繋がった時、胸が締め付けられるような切なさが読者を襲う。本書のメインテーマは謎解きではない。解かれた謎のバックグラウンドにある人間ドラマこそが真骨頂。この胸をえぐられるような気持ちになる読後感は、著者の名作「白夜行」を彷彿とさせる。ある意味“東野圭吾らしい”作品。

松宮や金森といった、加賀を取り巻く面々も存在感を増してきた本シリーズ。次回作も楽しみだ。

週刊文春ミステリーベスト10 2位
このミステリーがすごい! 10位
ミステリが読みたい! 11位
吉川英治文学賞受賞(2014年)

《加賀恭一郎シリーズ》
1.卒業
2.眠りの森
3.どちらかが彼女を殺した
4.悪意
5.私が彼を殺した
6.嘘をもうひとつだけ
7.赤い指
8.新参者
9.麒麟の翼
10.祈りの幕が下りる時
11.希望の糸
12.あなたが誰かを殺した

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 警察小説
感想投稿日 : 2024年2月8日
読了日 : 2024年2月7日
本棚登録日 : 2024年2月7日

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