戦争冒険小説かと思いきや、戦場という非日常における“日常の謎”を解き明かす本格ミステリ的味わいもある。しかしながら、謎解きだけでは終わらない深みが本書にはある。第二次世界大戦中のヨーロッパ戦線における米軍空挺師団。そこに所属する“戦場のコックたち”を主軸に繰り広げられる、戦争ならではの衝突あり、友情あり、悲劇ありのヒューマンドラマが圧倒的に面白いのだ。等身大の若者が葛藤し、苦難を乗り越えながら成長していく様はグッとくる。特に物語終盤の劇的な展開には胸を打たれた。余韻が残る読後感も良い。
およそ30人もの登場人物を描き分ける筆力。緻密な取材に基づいた戦禍のリアリティが凄い。まるで翻訳小説か?と見紛う程の臨場感だ。戦時中の具体的な食糧や料理が登場するのも特徴的。“粉末卵”は食べてみたいような、みたくないような(笑)
著者が影響を受け、本書のベースにもなったドラマ「バンド・オブ・ブラザーズ」もいつか観てみたい。
週刊文春ミステリーベスト10 3位
このミステリーがすごい! 2位
本格ミステリ・ベスト10 12位
本屋大賞 7位
SRの会ミステリーベスト10 3位
ミステリが読みたい! 2位
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
戦争冒険小説
- 感想投稿日 : 2023年10月15日
- 読了日 : 2023年10月15日
- 本棚登録日 : 2023年10月11日
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