ネットで話題になったので読んでみた。話題になったのはこの本の中のエピソードの一つ、実習のため偽の患者になり閉鎖病棟で過ごした医学生が狂いそうになったお話。でも本そのものはこの話から連想されるような恐ろしいものではなく、全編優しさにあふれている。病例を並べるのではなく、患者やその家族のドラマが描かれており、著者である中沢医師の人柄がいい。私が以前、鬱病でかかった何人かの医師は冷たく、ただ大量の薬を出す人々という印象しかなかった。結局治るキッカケは適度な距離感で接してくれた今の夫で、病気のことを根掘り葉掘り聞くのでもなく、ただ一緒に趣味等を楽しんでくれた人だ。中沢医師も焦らず患者個人の家庭環境を含めてじっくり付き合ってくれるところが「良いお医者さん」という印象。こういう人が近くにいるといいのにな、と遠く離れた実家の父がアル中になって暴れていると知った今、切実に思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
心理学・脳科学
- 感想投稿日 : 2017年9月2日
- 読了日 : 2017年9月2日
- 本棚登録日 : 2017年9月2日
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