マネ、モネ、ドガ、セザンヌ、ルノワール、そしてゴッホなど、現代では、ごく当たり前、世界中で愛好されている印象派絵画が、人々に受け入れられないどころか、軽んじられていた時代があったなんて……!
中野京子さんの今回の1冊は、「印象派」絵画を通して「近代」を学ぶというもの。印象派が登場するまでの古典的な絵画は、鑑賞という点では味わい深くても、家に飾ろうとは思わない。その点、印象派の絵画は、身近で、親しみさえあり、おなじみの作品も多い。しかしながら、この印象派と呼ばれる絵画は、当初、美術界の重鎮やサロン関係者に酷評されていたというのだから驚きです。
ルネサンスからの明暗法と遠近法を捨て去り、身近な暮らしを切り取り、感じるままを大切に描かれた作品の数々から見えてくる人々の“生”。読書好きな女性が、知的ではなく、むしろおバカな女とされていたこと、良妻賢母こそがブルジョワ女性の憧れだったこと、オペラ座が出会いの場所だったことなど現代の価値観と照らし合わせて、興味深く読みました。
巻末には主な画家のプロフィールや年表なども記されており、「時代」を掴むのにとても便利です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
美術
- 感想投稿日 : 2015年1月1日
- 読了日 : 2014年9月10日
- 本棚登録日 : 2014年9月10日
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