ミッションスクールになぜ美人が多いのか 日本女子とキリスト教 (朝日新書)

  • 朝日新聞出版 (2018年11月13日発売)
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感想 : 5

不思議なことがありました。
しばしばカーリルで「神奈川のどこにあるか」調べていたら
真っ先に日体大の二つのキャンパスにおかれたのです。
この3か月間に貸し出し中になったことがなくもないけど、
おかれてしばらくは誰にも借りられることはありませんでした。

今回やっと手にしても「なぜ日体大に?」と思う内容。
日体大の学生さんで読んだ方がいらしたら
ぜひ感想をきかせてほしいです。

国際日本文化研究センターの井上章一教授による
「プロテスタント校はあなどれない
―読者モデルを量産するわけ」
郭南燕准教授による
「ミッション系大学の成功物語
―なぜ女子アナの多数を占めるのか」
も面白かったけど、
川村信三上智大教授のところ、
一番夢中になって読みました。

明治になったからといって、簡単にキリスト教が普及するわけではないんですね。
鹿鳴館で欧化を謳いながらも、その文化背景としてのキリスト教を牽制し、影響力は極力排除しようとする明治政府。
さまざまな努力で「淫祠邪教」というネガティブイメージを払拭できたものの
「貧者と弱者の宗教」というイメージが強すぎたり。
「教育勅語」「文部省訓令十二号」による逆風がふいたり。

ところが突然、日本社会のほうからカトリックに接近するという事態が発生!
きっかけは、なんと日露戦争勝利!
日露戦争、マイブーム!

〈もちろん、勝利であっても実際には辛勝であり、あるいはアメリカ合衆国の仲介がなければ戦争継続は困難な状態であったが、国民は世界列強の一角であるロシアに対する「勝利」に酔いしれた。
大国ロシアに勝利をおさめるなどということは、たとえてみれば、サッカーワールドカップで決勝戦に進むぐらいのインパクトが日本人の中にはあっただろう。
そのとき、日本人は「列強と肩をならべた」「今後はヨーロッパ的な生活を実現できる」「日本は列強の一員だ」と思ったかもしれない。
そうした風潮が、明治以来地道に活動を広げていたキリスト教系の教育機関に直接間接の影響を与えた〉

そのころから「宗教部分を抜いた」「羽目をはずしていい」「大騒ぎの祭りとなる」「世俗的な」(愛と狂瀾の)クリスマスが日本に定着していったということ。

〈「世俗的」クリスマスはこれまで「キリスト教」に対していだいていた偏見や遠慮といったものを次第にうすめる契機となった。
これは、「邪教」から、「貧者に寄り添う」というカトリックのイメージから、さらに「諸外国と結びつく契機」であるととらえる心情を後押ししたということである〉

「日露戦争とクリスマス」がこんなに関係があったなんて思いもしなかった。
そうすると冒頭に書いた「日体大とミッションスクール」の関係も
何か重要なものがあるのかもしれないと思った私。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆社会政治経済☆
感想投稿日 : 2019年3月19日
読了日 : 2019年3月19日
本棚登録日 : 2019年3月19日

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