私は「このまま一生頭悪いまま終えたくない」と思い
佐藤優さんの本を読み始め、これで94冊。
一か月前に彼のデビュー作『国家の罠』を読んで
「佐藤さんの本から一冊だけ人に薦めるならこれ」と書いたのですが、
その約一年後に発刊されたこの『自壊する帝国』も
同時にお薦めしたい本です。
いや、本当にすごい!
佐藤優さんは私の大好きな須賀敦子さんに似ていると
今頃気づきました。
佐藤さんはロシアに敦子さんはイタリアに数年間
まるで地元の人のように暮らしています。
どちらも若き日を回想して書いているのですが
まるで今目の前で見ているかのよう。
佐藤さんはロンドンの古本屋とモスクワ大学の哲学部に出入りすることにより、多くの人と話をして人脈をどんどん広げていきます。
敦子さんはコルシア書店でした。
佐藤さんはプロテスタントで敦子さんはカトリックという違いはありますが、どちらも熱心なクリスチャンで、そして神学にめちゃ詳しい。
そのおかげで現地の人との会話がはずむのです。
ちなみに私、佐藤さんと敦子さんの神学関係の本を読もうとしたことが何度かありますが、即挫折しました。
本当はこういうことが大事なんだろうなあと今回改めて思いました。
佐藤さんも敦子さんも東大で教鞭をとったことがあるし、佐藤さんはモスクワ大で敦子さんはナポリの大学でも講義をしました。
とりあえずこんなところかな。
とにかく佐藤さんの記憶力は超人的です。
「モスクワ時代の回想録を書くつもりはなかったけど、『国家の罠』を出版したとき読者の多くがモスクワ時代に関心をもっていることを知って驚き、読者との双方向性を維持したくなり、回想録執筆にとりかかった。」
つまり事細かに日記をつけていた結果ではないのです。
また登場するロシア人たちの名前とニックネーム。
それぞれの個性。
ロシア語や、そのほかのいろいろな国の言語。
それから話題にのぼる政治家とか文化人とか。
そういうのがすべて頭にあって、ロシア人たちと交流していくわけですから。
ソ連→ロシアの時代に佐藤優さんという外交官を送りこめたこと、それは奇跡的な幸運だったとしか言えません。
512日間の拘留で腐ることなく、むしろそれを利用して、その後私たちにたくさんのことを教えて楽しませてくれる佐藤優さん。
同時に生き方も教えてくれているのです。
- 感想投稿日 : 2020年7月20日
- 読了日 : 2020年7月20日
- 本棚登録日 : 2020年7月20日
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