人間にとって成熟とは何か (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎 (2013年7月28日発売)
3.14
  • (48)
  • (139)
  • (240)
  • (88)
  • (35)
本棚登録 : 2040
感想 : 225

曽野綾子さんは聖心女子大学で、私の好きな須賀敦子さんや渡辺和子さんの3学年下です。さらに4学年下に美智子さま。
私はこのあたりを舞台にしたドラマを見てみたいです。朝ドラで扱ってくれないかしら。

曽野さんも須賀さん渡辺さん同様クリスチャンですが、作家だからか、ちょっと厳しいです。
この本はエッセイと思うのですが、実名をあげて批判しているところもあります。
彼女は今までもそうだったのでしょうか?面白かったですけど。

浜田雅功さんのオリンピック誘致広告について「この広告文はめちゃくちゃなのだ」と。
余談ですが、この章で曽野さんは「東京オリンピック」を予言。神様の預言ではなくて、理論立てて説明しています。

野田聖子さんの件に触れ
「お世話になっていいのである。他人のお世話にならずに生きていられる人などいない。しかしどれだけお世話になったかを見極められない人には、何の仕事もできない。
政治はもちろん、外交も経済も学問も芸術も、すべては強烈に他者の存在を意識し、その中の小さな小さな自分を認識してこそ、初めて自分の分をわきまえ、自分が働ける適切な場を見つける。
それができるようになるのが、たぶん中年から老年にかけての、黄金のような日々なのである。肉体は衰えて行っても、魂や眼力に少し磨きがかかる。成熟とは、鏡を磨いてよく見えるようにすることだ。」

「私は或る人が品がいいと感じる時には、まちがいなくその人が成熟した人格であることも確認している。」
「品は、群れようとする心境を自分に許さない。」
「品を保つということは、一人で人生を戦うことなのだろう。それは別にお高く止まる態度を取るということではない。自分を失わずに、誰とでも穏やかに心を開いて会話ができ、相手と同感するところと、拒否すべき点とを明確に見極め、その中にあって流されないことである。」
「品というものは、多分に勉強によって身につく。本を読み、謙虚に他人の言動から学び、感謝を忘れず、利己的にならないことだ。受けるだけでなく、与えることは光栄だと考えていると、それだけでその人には気品が感じられるようになるものである。」

「成熟ということは、傷のない人格になることでもない。そういう人もいるだろうが、やはり熟すことによる芳香を指す言葉のように思う。或る人の背後にあるその人間を育てる時間の質が大切だ。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆心と体☆
感想投稿日 : 2018年3月9日
読了日 : 2013年9月12日
本棚登録日 : 2013年9月12日

みんなの感想をみる

ツイートする