ユルスナール・セレクション 1

  • 白水社 (2001年5月1日発売)
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感想 : 24

『ハドリアヌス帝の回想』の日本語版は1964年・1985年・1993年・2001年・2008年と白水社から出ています。
先日1993年の物を読み、読了前にレビューを書きました。http://mixi.jp/view_item.pl?id=1595408&reviewer_id=4337602

ここに書いたように、この本は難しい単語のオンパレードでした。辞書を片手に読み終えました。途中でレビューを書いたときは「もっとわかりやすい翻訳本をだしてほしい」と提案しました。

辞書を頻繁に調べて本を読むのは大変でしたがとても楽しくもありました。
また、この翻訳の多田さんの「ユルスナールの靴」文庫版にある解説、そしてこの「ハドリアヌス帝の回想」のあとがきを見ると、そんなに難しい文を書いていません。
これは「ハドリアヌスなら…」と想定して、難しい言葉を並べたのかなと思いました。大変味わい深い文章でした。

ユルスナール女史も「修正の上に修正を重ねた」とあります。

先日「ライフネット生命社長」の本を読んだとき一番お気に入りの本がこれでしたし、レビュー等を読んでも絶賛の嵐です。
ハドリアヌス帝・ユルスナール女史・多田智満子さんがそろって超一流なのです。

今回私がなぜこの2001年版を借りたかと言うと、1993年版を読んだときに明らかなミスを見つけたのでそこがどうなっているか知りたかったからです。
いくつか疑問に思ったけど、二箇所調べました。

長口舌(長広舌)
白晢(白皙)

前のままです。
そして今回見ていたら、私の前に借りたひとが他にもミスをみつけて鉛筆で修正していました。

ロデス(デロス)
これは1993年版でも。

そして今回新しいミス
「ボスフォルス…(最後の」がない)

つまり前回のミスが直っているどころか、むしろ増えている?
他にもあるのでは?

これだけ一流のメンバーをそろえているのですから、白水社さんにも完璧にしあげてほしいと思いました。

そしてもうひとつ疑問に思ったのは、私と違ってこの本をすらすら読んでしまった方達はいったいどう思っているのでしょう。
「誰にでもミスはあるから、気にしない」のでしょうか?

それとも「1961年ニューヨーク近代美術館にアンリ・マティスの絵が47日間も逆さに飾られ、最終日の前日になるまでのべ11万6000人もの観客の誰も気づかなかった」みたいなことなのでしょうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆世界史☆
感想投稿日 : 2018年2月26日
読了日 : 2012年4月14日
本棚登録日 : 2012年4月14日

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