ニュースの"なぜ?"は世界史に学べ 2 日本人が知らない101の疑問 (SB新書)

著者 :
  • SBクリエイティブ (2017年9月6日発売)
3.80
  • (19)
  • (36)
  • (23)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 324
感想 : 34

茂木誠さんは駿台予備校世界史講師で、夏期講習冬期講習等で「東大世界史」「早慶大世界史」を担当されているそうです。
どんな講義をされるのかしら?
聴いてみたい!

この本はシリーズ第二弾で、一年半前にでた前作は10万部突破だそうです。
ほんとうに、わかりやすくてとても面白かったです。
茂木さんの新刊を予約しました♪

非常に「中立」と感じる。
私は元々なんとなく「トランプは悪オバマは善」みたいな印象をもっていたのですが、最初の方で「茂木さんて、オバマのことが嫌いなのでは?」と思った。
でも「アメリカの中東に対する政策に関しては、オバマが正しかった、というのが私の意見です。中東の戦争から手をひかなければ、アメリカは泥沼にはまっていくだけです」
「オバマがイランと核合意を締結し、関係改善を図ったのは真っ当な判断だったといえるでしょう。ところが、トランプはイランとの核合意を破棄し、イスラエル寄りの態度をとっているのです」と言っている。
だから、良いことも悪いことも解説したうえで、きちんとご自分の考えを述べているのだと思います。

この本は9月にでたので、新しい情報が得られて嬉しいです。
たとえば気になっていた「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)。
「日本は置いて行かれちゃったのだろうか…」と思っていました。
しかし「結果的に乗らなくて正解でした」と茂木さん。

それと、朝鮮のことがすごくわかって楽しかったです。
朝鮮は国の独立を保つため、2つの方法をとってきました。
一つは「朝貢」、中国の皇帝に貢物を捧げ、君主として認めてもらう。形式上は頭を下げておき、そのかわりに軍事占領されることを回避してきました。
もう一つは「事大主義」。近代に入って中国の力が弱まると、他の大国と手を結んで中国の脅威に対抗してきました。

この「事大主義」がわかると「韓国、なんで?」と思った疑問が次々解決します。
たとえば日露戦争で日本が勝ったとき、朝鮮は「韓国併合」に関する条約に調印。
これは日本が無理やり韓国を占領したイメージですが、もともとは「日韓合併」と呼ばれ、むしろ韓国の方が積極的だったそうです。

いっぽう北朝鮮は「事大主義」を捨て、「主体思想」つまり首領の指導が必要だとしました。
その結果が「首領様を無条件で崇拝しなさい」、金一族による支配体制が確立されていきました。

北朝鮮について、茂木さんのいろいろな見解を読むと、そう遠くないうちに動き出すのではないかと思いました。
私は拉致被害者の皆さんを早く返してほしい。
ただ、茂木さんによると「日本にとっては、北朝鮮と中国がもめている状態が、実はいちばん都合が良いのです。そういう意味では、ロシアも同じです」なのだそうです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆世界史☆
感想投稿日 : 2018年4月8日
読了日 : 2017年12月18日
本棚登録日 : 2017年12月18日

みんなの感想をみる

ツイートする