オーパ、オーパ!! アラスカ至上篇 コスタリカ篇 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (1990年12月14日発売)
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本棚登録 : 212
感想 : 10
4

(2013.01.27読了)(2013.01.24拝借)
開高健の釣り紀行です。
カラー写真が入っているので、すぐ読めると思って取りかかったのですが、結構難儀しました。魚が釣れないときは、開高さんの筆も鈍り気味で、なんやうだうだぐずぐずと、読むほうもしんどくなってきます。
いったん魚がかかると、筆もはずんで躍動し、読んでる方もうれしくなってしまいます。
アラスカ至上篇は、「王様と私」。コスタリカ篇は、「雨にぬれても」。と題されています。
アラスカではサーモンを釣り、カリブー撃ちのおまけがついています。
コスタリカではターポン釣りです。ターポンは、釣りごたえはあるけど、食べるには適さない魚のようです。

●女には釣れる(65頁)
サケがきっと一度河面上がってきてボートを一瞥し、乗組んでいるメンバーを眺め、どれが女であるかを判別し、その竿と糸を見定め、それから河底へおりていってその糸のさきの鉤に食いつくのだ。そういうことをいちいちそっとやっているのだといいたくなるくらいに、女によくかかる。
●知恵の哀しみ(94頁)
知らないでもいいことを知ったばかりに現世がつまらなくなることを〝知恵の哀しみ〟と申すのであるが、
●キャビン・フィーヴァー(117頁)
キャビン・フィーヴァーはアラスカやカナダなど、冬の長い北国で発生する発作であり、爆発である。雪と寒気に閉じ込められて5カ月、場所によっては6カ月、家にこもったきりで暮らしていると、抑圧がたまって暴発するのである。
いきなり斧をふるって妻や子を一人残らず惨殺したあげく自分は家から走り出して河へとびこんだり、ショット・ガンで一家皆殺しをやってから引き金を足の指でひいて自分の頭と顔を粉々にしたり……。
●雨と晴れ(337頁)
昨日が革命前のロシア文学のように暗かったというなら、今日はナポリ民謡のように明朗だといいたい。
(2013年1月27日・記)
(「BOOK」データベースより)
かつて砂金掘師が狂奔したアラスカの河岸に、世界中の釣師が、巨大なキングサーモンを狙ってひしめく。小説家はバック・ペイン(背痛)をおして氷寒の生と死の円環の中に、輝く虚無となって立つ(アラスカ至上篇)。中米のジャングルの河面を銀色の巨体が破る。疲れを知らぬ河の主、ターポン。剛竿がしなり、リールが悲鳴をあげる―。小説家との長い長い格闘が始まった(コスタリカ篇)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 開高健:作家
感想投稿日 : 2013年1月27日
読了日 : 2013年1月27日
本棚登録日 : 2013年1月25日

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