グレコ (新潮美術文庫 11)

著者 :
  • 新潮社 (1975年1月1日発売)
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本棚登録 : 16
感想 : 2
5

(2006.05.26読了)(2004.07.19購入)
エル・グレコ(本名:ドメニコス・テオトコプロス)
1541年 クレタ島の首都カンディアに生まれる
    父ヨルギは、ヴェネツィア共和国の下級官吏
1560年 ヴェネツィアに出る
1570年 ローマに出る
1575年 ローマを去りスペインに赴く
1578年 ヘロニマ・デ・ラス・クエバスとの間に息子ホルヘ・マヌエール生まれる
1614年 4月7日死去、享年73歳

新潮美術文庫の一冊ですので、32枚の絵画とその解説、画家の小伝、年表という構成になっています。
エル・グレコは、ご存知のようにギリシア人という意味で、本名ではありません。ドメニコス・テオトコプロスという名前を聞いても分かりません。覚えることもできません。
父は、ヴェネツィア共和国の人ということですので、ギリシア人というわけでもなさそうです。クレタ島の生まれで、名前がテオトコプロスとギリシア風なので、ギリシア人ということなのでしょう。
19歳で、ヴェネツィアにでたということなのでそこで絵を習ったのでしょう。34歳の時にスペインに赴き、主にトレドで絵の制作を行っています。
従って、作品もトレドの街とマドリードのプラド美術館に所蔵されています。

●グレコの画風(74頁)
クレタ島にギリシア人として生まれたエル・グレコが、34・5歳でスペインに現われるまでの重要な期間を、イタリア特にヴェネツィアとローマで過ごしたこと、そして彼が画家としてもっとも強い影響を受けたのはローマ派からよりもヴェネツィア派からであった事などは、何よりイタリア時代やスペイン到着直後の作品が証明している。
●グレコの技法(75頁)
エル・グレコが、彼の作品をしばしば手元に引き寄せ、それになんどか補筆して、様々な色を不連続にしたり、下描き風の荒々しいタッチを与えたりする。この技法こそ、エル・グレコにとって線的・触覚的な価値を持った形体を光と色の支配下におさめ、形体の象徴性を神秘的な領域にまで高めてゆく手段であった。この技法は主として宗教画と聖人画に用いられ、エル・グレコのもう一つの大きなジャンルであった肖像画においては、最後までレアリスムの基本線を守り抜いている。この技法によって描かれたエル・グレコの人物は、様々な方向から来る光を受けながら、燃え上がる炎と化してゆく。

☆関連図書
「プラドで見た夢」神吉敬三著、中公文庫、2002.02.25

著者 神吉 敬三
1932年 山口県生まれ
1956年 上智大学経済学部卒業
1956年~59年 スペイン政府給費留学生として国立マドリード大学文学部留学
上智大学名誉教授
スペイン美術史専攻
1996年 死去、享年64歳

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 美術
感想投稿日 : 2010年2月11日
読了日 : 2006年5月26日
本棚登録日 : 2006年5月26日

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