ウィトゲンシュタイン入門 (ちくま新書 20)

著者 :
  • 筑摩書房 (1995年1月20日発売)
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感想 : 67
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(2004.08.14読了)(2003.05.09購入)
「この本は、ウィトゲンシュタイン哲学の入門書である。第一に、この本は「哲学」の本であって、人物紹介の本ではない。第二に、この本は入門書であって、解説書や概説書ではない。」
「哲学にとって、その結論に賛成できるか否かは、実はどうでもよいことなのである。重要なことはむしろ、問題をその真髄において共有できるか否か、にある。優れた哲学者とは、すでに知られている問題に、新しい答えを出した人ではない。これまで誰も、問題があることに気付かなかった領域に、実は問題があることを最初に発見し、最初にそれにこだわり続けた人なのである。」「ある哲学者と問題を共有した時、それによって世界の見え方が変わり、人生の意味が変わる。」「もしウィトゲンシュタインがあなたにかかわりを持つとすれば、それを知らずに人生を終えることは、無念なことではないか。」
永井均の疑問 「私はなぜ、今ここにこうして存在しているのか」「なぜこの子が自分であって、隣にいる子が自分ではないのか」「無数にいる人間といわれる生き物の中に、自分という特別のあり方をしているやつが一人だけいて、こいつがそれである、ということが不思議でならなかった。」(このような疑問を持っている方は、ウィトゲンシュタインを読むといいということです)
ウィトゲンシュタインの独我論 「私だけが存在する」「もし私が存在しないとすれば、ある意味でそれは、何も存在しないのと同じである」「私に見えるものだけが真に見えるものである」「私の意識だけが唯一本当に存在するもので、他の一切は私の意識への現れである」
(これだけ読むと、自己中心主義、世界は自分を中心回っており、この世界では自分が主役であり、他は脇役でしかない。自分がいない世界など考えようがない。と言うことみたいに見えるような気がするけど、そういうことではないらしい。)
ウィトゲンシュタインの「論考」の主題 「言語の可能性の条件を明らかにすること」「ウィトゲンシュタインは、言語が世界について何事かを語りうるのはどういう条件の下でなのか、を問題にした」
「「論考」の最初のページを開くと、世界がどのようにできているか、ということに関する独自の見解が、何の説明もなしに、あたかもご託宣のように述べられている。」(これは、現代数学の影響を受けたものであろう。現代数学では、最初に公理を述べて、その公理を元にすると、どのような数学世界が可能かを導いてゆく、というスタイルで記述するようになっている。ウィトゲンシュタインもその記述スタイルを真似て、最初のご託宣に沿って論じると、どのような世界が構築可能かを論じたのかもしれない。)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 思想
感想投稿日 : 2009年11月19日
読了日 : 2004年8月14日
本棚登録日 : 2004年8月14日

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