忍法忠臣蔵 山田風太郎忍法帖(2) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1998年12月11日発売)
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本棚登録 : 257
感想 : 30
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2012/2/19読了。正月に放映された忠臣蔵のドラマがあまりにつまらなかったので、面白い忠臣蔵に触れたいと思い読んでみた。虚と実を巧みに組み合わせた風太郎忍法帖の傑作、期待に違わぬ面白さだった。
赤穂浪士を暗殺するべく吉良上野介の実子上杉綱憲が放った忍者たちと、それを阻止すると同時に赤穂浪士を色仕掛けで骨抜きするべく上杉の家老千坂兵部が放ったくノ一たちの忍法合戦がストーリーの中心。
赤穂浪士ではなく上杉家内部の忍者同士の戦いとしたところが面白い。それでいて大石はじめ赤穂浪士たちもキャラが立つよう描かれているのが凄い。風太郎忍法帖らしく奇想天外でエロチックな忍法が次々に繰り出されるのも楽しい。
しかし本書で最も印象に残るのは、くノ一たちを陰から監督する伊賀忍者無明綱太郎の視点である。忠臣蔵のテーマである「忠」に根本的な疑問を投げかけるこの男、大佛次郎の『赤穂浪士』における堀田隼人と同じく、物語をただの義挙美談ものに終わらせない重要なキャラクターである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2012年2月19日
読了日 : 2012年2月19日
本棚登録日 : 2012年2月18日

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