こころをみつめて: 知的障害学級から特別支援教育の質を問う

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  • 群青社 (2011年12月1日発売)
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特別支援教育の中で注目を浴びることとなった軽度の発達障害児への教育実践を中心とした特別支援学級での実践記録である。

30数年の経験をふまえ,その知見を活かしながら,子どもたちと葛藤し,歩んできた軌跡が描かれている。
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私たち教師は教育実践を通して「意欲を育てる・自主性を尊重する・考える力を育む」というねがいをもっています。そのためにはどんなことを言っても受けとめるという覚悟が必要です。内容によってはよしとしたりダメだったりするのでは,子どもたちは本当に自分で考えようとはしません。子どもを信じて丸ごと受けとめるという覚悟です。P107
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いろんなことを敏感に感じ,一生懸命考え,精一杯行動をおこしています。それは私たちの予測をはるかに超えていて,「あ,そうだったんだ」「まいった」「面白いなぁ」と思わされる日々の連続でした。それを周囲の私たちがキャッチして受けとめ,意味づけをし,共感・共有することができるかどうかです。子どもたちを信頼してともに学級の文化と人との豊かなつながりをつくり上げていく,教師という職業の醍醐味がそこにあると思います。P88
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子どもたちの内面を大事にする姿勢が3人の実践家において共通している。子どもにとって何が大事で,必要かを見極め,何をねらい,どんな力を身につけさせていきたいか,集団の力を生かして取り組んでいる。





特殊教育から特別支援教育の移行において,これまで培われてきた実践知をこの世代の人たちからもっともっと学ばなければいけないと痛感した。






以下Amazonより引用 
レビューを読んだ方で,引用を参考にしたい場合のため,ページ数と著者名を追記。
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序章 知的障害をもつ子どもと特別支援学級の役割(障害をもつ子どもたちとともに―教育実践への問題意識
あらためて、子どもの「声」に耳をかたむけて―特別支援教育の質を問い直す ほか)P16〜33森 博俊
第1章 学級に生活とドラマをつくる(ドラマチックに生きる子どもたちドラマへの参加をしかける ほか)P36〜86杉山敏夫
第2章 自分と友だちを好きになる(寄り合い所帯からの学級づくり
話し合いながら学芸会をつくる ほか)P88〜145永田 三枝子
第3章 いまを生きる障害をもつ子どもの「声」を聴く(話したことや作文に含まれている子どものねがい
子どもの気持ちをていねいに聴きとって ほか)P148〜195大高 一夫
第4章 知的障害学級における「自己の育ち」への挑戦(絵本世界への参加による学習の試み―杉山敏夫の実践に学ぶ
友だちとの関係を築き、自分に気づく―永田三枝子の実践に学ぶ ほか)P198〜234 森 博俊

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教育実践
感想投稿日 : 2012年11月29日
読了日 : 2013年7月13日
本棚登録日 : 2012年11月14日

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