日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所 (2010年12月15日発売)
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読んでいて、すごく辛かった。
戦後教育の自虐史観で育った人間なうえに、ゆとり教育世代で浅学なので、素直に、ここに書かれていた日本人論を、素直に受け入れて、信じて、喜ぶことができない。
なぜなら、もうここに書かれている日本人像、文化論は、私の日常生活に存在しないから。遠く隔たった昔の話のように、聞こえてしまった。
素直に美しい母国愛を抱けない自分が憎いものの、望んでそのようになった訳ではない、全ての原因は情操教育の指向性という自己防衛の板ばさみにある。

また、私が素直にこの国家史観を受け入れられないというのは、もう一つ理由がある。

公文書を辿りながら、日本という国を辿ると、それはそれは美しい国家像、国民性ができるかもしれない。
しかし、現在でさえ、国家の中心にいる方々が想定する民衆の生活モデルと私の生活の実情は大きく異なる。時代の経過のうちに権力によって淘汰されなかった文書が、いかに限定された情報であるか、どちらのサイドに聞きごこちがよいものだったかというのを感じざる負えない。文書は自己の愚かしさを露呈するために書かれるものではなく、常にその対極の意識で他者の視線を痛いほど気にしながら、後代に明け渡すものだ…この文章のようにw

まあ、小難しく書いちゃったけどさ、私はこの本で自虐史観克服したいと思って読んだんだよね。でも、ちょっとそれは的外れだったなって後悔してるわけ。自虐史観が嫌いの本質的な問題である愛国心とかその延長線にある自己愛を育むためにはさ、タイトルにあるような「いちばん人気」とか数値で測れるものじゃ満足しなくて、けっきょく自分の生活が、生き方が、どんな風に社会とか国とかに関係していたのか、その経験の貧富によってレベルアップしてくもんだよね。あと、逆に、どれくらい国とか社会が自分を愛してくれてるのか、それが認識できなければ、日本の自虐史観とか日本人の自尊心の低さはそうそう引っ剥がせない闇だね。

レビューこんな低くしてごめん。でも、水戸黄門みたいな帰納法的論理展開は感心しないよ。

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感想投稿日 : 2013年1月6日
本棚登録日 : 2013年1月6日

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