面白い~一気読みである!!!
【本文より】
「永倉と談笑していた井上は精次郎にむかって片目をつむり、さりげなく「ひよっとこ」を中庭へけりとばした。
精次郎は、ぴたりと正座すると頭を上げた。
「井上先生、ありがとうございました。」
涙は出ない。
今はただ決意のみがある。
過去を捨てるのだ。
今こそ、全てを捨て去ろう。
自分は新しき世を生きるのだ。
井上から受け取った宝物を胸に生きるのだ。
「あなたにいただきしの命。尽きるまで、芸道にまいしんせんことを、ここに誓います。」
何かを信じよ。
井上はそれを教えてくれた。
剣かもしれぬ。
芸かもしれぬ。
どちらでもいいのではないか。
心から信じられるものがある。
それこそが、生きることにとって大事なことであることに変わりはない。
ひとは生きる。
生き延びねばならぬ。
生きるために信じるのだ。
自分を信じるのだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
吉森大祐
- 感想投稿日 : 2018年8月19日
- 読了日 : 2018年8月15日
- 本棚登録日 : 2018年8月15日
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