この小説を読むと、恋の恐ろしさを痛感します。代助が実家から斡旋される結婚や、他の恋愛(社交界に出入りしていたのだから、それなりの出会いもあったはず)ではなく、なぜ、3年前に友人に斡旋した女性(三千代)への愛を貫き通したのでしょうか。実家や世間から断絶されてまでの愛とは一体・・・。しかしまあ、代助に三千代を上げる平岡も平岡かな。三千代を愛していないのなら、平岡も三千代も幸せにはなれないはずなのに。三千代を愛していないのに、世間体を保つため(?)、ちゃっかりと代助の実家に代助の奇行を報告している(新聞社勤めなのだから文章はうまかっただろう)のも抜け目がないというかなんというか。この小説で、幸せになった人はいたのでしょうか?代助も最後はどこまでも電車に乗って行こうとし(自分の選んだ選択の結果からの逃避?)、三千代もどうやら不治の病気だし、実家は代助と絶縁するし、平岡も妻を奪われるし。愛を貫くことで、これだけの代償が生じうるのだから、恋愛や結婚にはリスクがあるのかなあ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2016年5月15日
- 読了日 : 2016年5月15日
- 本棚登録日 : 2016年5月15日
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