東京バンドワゴンシリーズ第4弾。
第3弾で、少しだけ触れられていたサチさんと勘一さんが出会うきっかけとなった事件から結婚までを描く番外編。
終戦直後のごたごたの中で、日本の行く末を左右するかもしれないある文書の存在。
その秘密をにぎる子爵のお嬢さまを狙うGHQや旧陸軍などの関係者たち。
やさしく魅力的な彼女を敵から守りながら、ともに楽しく生活を送るナイトのような面々。
ストーリも文句なくわくわくドキドキし、楽しめる。
「有閑倶楽部」のメンバーのように得意技を持ち、洒落た気のいいひとたちとその親世代にあたる思慮深い大人たちが策をめぐらせ、敵に立ち向かう冒険小説の趣が楽しい。
と同時に、戦後の困難な時代を明るく前向きに歩いていこうとする姿に勇気が湧いてくる。
さらに、あとがきがとにかくうれしい。
この魅力的な登場人物たちがいきいきと躍動する1冊を書店員さんが愛情を持ってオススメし、見どころを見事に解説してくれる。(さすがプロ!)
『解説』とあるけれど、好感度の高いレビューといった方がいいでしょう。
3巻までのサチさんがあまりにも素晴らしく、できた人過ぎて、最初はうらやましく憧れた私も、心の奥の方にあるあまのじゃくな部分が顔をだし、少しばかりうんざりして、自己嫌悪に陥ることもあったのだけれど、それすらも掬い上げてくれた。
ありがとう、店員さん!
おかげで、大好きな本がやっぱり大好きなシリーズであると再確認できました!
「わたしは、それが人の本質ではないかと思うんです。美しいものを美しいと感じられる。素晴らしいものを素晴らしいと思える」(P274)
人の持つ良心を信じさせてくれるサチさんのつぶやきに共感し、じわーっと温かな気持ちが満ちてくるおすすめの1冊です。
- 感想投稿日 : 2014年3月18日
- 読了日 : 2014年3月17日
- 本棚登録日 : 2014年3月17日
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