梟の一族 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2022年2月18日発売)
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本棚登録 : 533
感想 : 49
4

今度も初読みの作者さん。
フォローしている方々のレビューに惹かれて買ってきたが、皆さんのお陰で今まで知らなかった作者さんに会えるのはありがたい。
この本もとても面白かった。

冒頭、滋賀の山里の集落が襲われ、いきなり巻き込まれ型逃亡劇が始まる。この“いきなり”“巻き込まれ”で話が動きだすというのがいいねえ。
そこからは、当事者だけでなく警察や記者も入り乱れ、敵味方の見分けもつかない中、〈梟〉の一族という特殊な集団の中で育ったとはいえ普通の高校生だった主人公・史奈が見聞き体験することに一緒に翻弄される。
真相に近づいていけば、今度はその一族が持つ特異な体質に対する遺伝情報を巡るサイエンスミステリーの体。
怪しげな研究所や警備会社が跋扈して、睡眠のメカニズムが語られたり、〈カクレ〉や〈シラカミ〉が現れたり、ここでもまた何が正解か分からず、話の行き先を図りかねる展開に惹き込まれる。
最後は再び山里での忍者もものかわのアクション劇。
滋賀県に住んでいたことがあるが「河内風穴」のことは全く聞いたことがなかった。ネットで写真を見ただけだが確かにそれらしく凄そうなところだなあ。
一族の持つ身体能力が出し尽くされたようには見えなかったのがやや不満だが、最後まで次から次へと楽しむことは出来た。
読み終えて見れば、普通の高校生だった史奈が一族をまとめる統領になるまでの成長譚になっていて、終章の儀式の場面はなかなかに厳か。

いったん収束を見た話だが、史奈の偽物の正体やお堂の中の書物の読み解きなどまだまだ奥は深そうで、続きが楽しみ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2024年読んだ本
感想投稿日 : 2024年1月12日
読了日 : 2024年1月10日
本棚登録日 : 2024年1月12日

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コメント 4件

マメムさんのコメント
2024/01/13

初コメです。
一見すると時代小説かなと思わせつつ、現代的な設定で面白い1冊ですよね。

ニセ人事課長さんのコメント
2024/01/13

マメムさん

こんばんは。お久しぶりにコメントいただけて嬉しいです。

この本もマメムさんの「梟の胎動」のレビューを読んで惹かれるところがあり、そこに『前作の「梟の一族」を読了しておくことを推奨します』とあったので、こちらから手にしたところです。
この本のレビューにも『読了を前に続編「梟の胎動」を早々に買い、発売予定の「梟の好敵手」まで購入予約してしまうほど』と書かれてありましたが、そのお気持ちよく分かりました。
私も早速「梟の胎動」を手に入れたいと思います。

マメムさんのコメント
2024/01/13

ニセ人事課長さん、こちらこそお返事ありがとうございます。

レビューを参考にして頂き、ありがとうございます^_^
ただ本作と続編の『胎動』『好敵手』は印象が異なるかも知れませんので、番外編?外伝?のような作品だと受け止めるのが良いと思います(^_^;)

ニセ人事課長さんのコメント
2024/01/14

マメムさん、おはようございます。

ご助言ありがとうございます。了解です!

今年も宜しくお願いします。

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