狂言誘拐というゲームを犯人の視点で描く。娘の父親への身代金要求を犯人は鮮やかに攻めていくが、強敵のはずの相手からはなぜか手ごたえが感じられない。順調に進んでいるはずなのに、追い詰められていくのは犯人なのか。最後に事件は様相をがらりと変える−。東野圭吾の作品を読み始めてまだ数冊目だが、バラエティに富んだ作品の中に共通の世界を感じる。それは、どこまでも現実のこの社会だ。善人も悪人もないし、真実は目線しだいで変わるもの。本作はとくに、見えないことに恐怖して追い詰めらていくゾクリとする感じが見事。
読書状況:読み終わった
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文庫
- 感想投稿日 : 2011年5月5日
- 読了日 : 2009年3月7日
- 本棚登録日 : 2010年12月12日
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