日本のありふれた心理療法: ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学

著者 :
  • 誠信書房 (2017年2月25日発売)
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感想 : 11
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久々に面白い本に出会った、割には読了に時間がかかった。よく見ると300ページ余りあった。これまで「日本」の「ありふれた心理臨床」について総説的に書かれた本はなかった。精神分析や認知行動療法など、欧米から輸入したものを日本的に咀嚼した上で総論を述べる本が多々で、それぞれの学派の壁は高かった。その中では、日本の心理臨床の歴史と日本の文化の考察を経た上で、医療人類学者クラインマンのヘルスケアシステムに理論的に準拠した上で考察されている。沖縄での臨床実践をされたことも体験的には大きいのかもしれない。ただ事例や著者自身をも事例として取り上げ、理論と現実を折衷する形で、心理療法の葛藤状況を体験的に理解できるような筆の進め方で、最後まで目を離さずに読み切れた。改めて、自分自身の心理臨床の振り返りにもなり、今後の課題も見つかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: メンタル
感想投稿日 : 2018年7月19日
読了日 : 2018年7月19日
本棚登録日 : 2018年7月19日

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