著者が1970年代より唱えていた「自己治療仮説」が最新の知見も含めてまとまられた総説本。訳者の松本先生の脳力か、すごくこなれた日本語で読みやすい。「患者の生活から単にアルコールや薬物といった『モノ』を除去し、管理することだけが依存症治療ではない。依存症治療は、痛みを抱えた一人の人間の支援、『ヒト』の支援でなくてはならない」「感情調節と愛着の障害、および不安定な自己愛からなる心理的脆弱性こそが、人を物質使用障害へと傾かせる要因である」「彼らは、自分には理解できない不快感を、自分がよく理解している薬物が引き起こす不快感へと置き換え、それによって、コントロールできない苦悩をコントロールできる苦悩へと変えている」と薬物に依存することは決して単純に快楽に溺れているわけではないのである。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
メンタル
- 感想投稿日 : 2013年7月10日
- 読了日 : 2013年7月10日
- 本棚登録日 : 2013年7月10日
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