営業の魔法

著者 :
  • ビーコミュニケーションズ (2007年10月2日発売)
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入社半年で1台も空気清浄機が売れない新人営業マンが、
営業の神様と思える人物から、毎週1時間ずつ「営業の魔法」
を教わり、一人前の営業マンに成長する物語。
12の”営業の魔法”が示されていますが、その中のいくつかは、
社会人として、会社人として仕事をしていくうえで、大切なことを
教えていると思います。営業関係の仕事をしている人が読むだけでは、勿体ないと思います。
読んでみてほしい人:入社歴の浅い若手社員と彼らを指導する立場の人間が読むのに適していると思います。

<気に入ったフレーズ>
どれも、セールスマンとしての心得を説いたものですが、
我々、普通のサラリーマンというか社会人に対して向けられている言葉と取れると思います。

人間力:「自分の人間力を高めなければ、いつも足元しか見られないちっぽけな視界で終わっちゃうんです。成長しなければ・・・成長することで遠くまで見渡せ、広く世間を見られるんですよ。」
すなわち、視点を高く持つようになれるということです。それによりより難度の高い課題に挑戦できるようになります。

「あなたは、一年前の悩みを覚えていますか? そう、悩んじゃいるが、時間がたつと忘れてしまう。それが、悩みというものなんです。つまり、解決するアドバイスを人は求めているのではなく、自分を理解してくださる人を求めているんです」
つまり相手に”共感”することが重要だということですね。


「イメージの限界が自分の限界になる」
人は、自分がイメージしたもの以上にはなれない。
従って”既成概念”を破っていくことが大切。
「既成概念とは、自分の中にいる弱気な自分へのアドバイザーだ」
「やめておいたほうがいい、と呟いたり、無茶するなと制止したりする。」「既成概念に従って行動すると、可能性を見失うことがある。」確かに、既成概念は、弱気の自分に語りかけてくるような~あ。

応酬話法
営業トークとしてよく耳にしますが、心に止まったのは、
「二者択一法」でした。相手との約束を取る時「月曜日と、水曜日のどちらが都合がいいですか}と聞くと、相手は、ついつい余分なことまで話してくれる。すなわち、相手が具体的なイメージを浮かべてその曜日を検討することができるようになる。
これは、日常の業務や家庭内でも活用出来るかなと感じました。

「イエス・バット法」
・まず、相手の意見を肯定する。
・その意見に対して質問を繰り返す。
・相手が、違う考えを自分から導き出す。
答は、相手自身の中にあるということ。「コーチング」の手法にも似ていますね。


ウイリアム・ジェームス博士の言葉:アメリカの心理学者
彼の最大の発見が紹介されていました。
ポイントは、自分に対して発生するネガティブナことでも、落ち込まず自分の意思で行動をコントロールできるんだよということ。

「人間には、その人がなりたいと思うようになる性質がある」
つなり「イメージしたとおりの自分にしかなれない」
「幸せだから笑うのではなく、笑うから幸せだ」
行動は、感情に従っているのではなく、意思の力で行動をコントロールすることができることを発見した。
有名な博士の言葉
「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。人格が変われば、運命が変わる。
(運命が変われば、人生が変わる)


「快活さを失ったとき、他人に頼らず自発的に快活さを取り戻す秘訣は、いかにも楽しそうな様子で動き回ったり、しゃべったりしながら、既に快活さを取り戻したように振舞う事である。

落ち込みそうなとき、落ち込んだ時にこれを意識して行うことが大切ですね。

■仕事にも形がある。
このでは、営業にも形があることを説明するのに、剣道・柔道などの武道の形について説明がなされていましたが、なかなかいい説明だと思いました。
かの有名な宮本武蔵も『平常心』という心を追求して修行にはげみました。つまり、形を極めた者のみが何かの気付きを得て、心の部分に近づくわけです。
「しかし、現代では、形も間々ならないまま、すぐ『なぜ』と答えを求めようとします。礼儀や作法に含まれる意味を求めたがります。礼儀や作法は、一つの形なのです。それを極めたとき初めて、『なぜ』に気付くんです。鍛錬を飛び越えることはできないわけです。」

実に、いい言葉だと思います。

先人たちは、子供たちに『そのうち分かる』とよく言いました。これは実に真理を突いた説明でした。決して質問から逃げたり、無責任に発していることばではなく、その時期が来ないとわからないことがあり、また世の中はそういうことに溢れているのです。

だから、仕事も、人生もまずは、形を身に着けよう。
そうした人だけが、”形破り”ができる。
それが、身についていない人は”形なし”だ。どこかの本に書いてあった。
武道の修行の「守破離」は、これを表している。
千利休が好んで広めたと言われているそうです。
『守』は師匠を徹底的に真似る。『破』真似び(学び)に工夫を加え発展させる。『離』新しい境地への道を究める。

うさぎとかめの競争のたとえ話も面白いですね。
人生では、「早い者」「強い者」に分があるわけじゃない。
目標から目をそらさずコツコツ積み重ねる、クリアーしていくものに分がある。
うさぎは、勝つこと=ゴールすることが目的ではなく、自分の足が早いことを見せつけることが目的だった。だから休んで見せたりした。カメは、ゴールすることを目標にし、勝ち負けに拘っていなかった。
ひたすら自分の目標を目指したものに、軍配が上がるということ。

ポジティブ話法について、
ポジティブな考え方に基づく発言ととらえがちでしたが、
「言い切る」技術と説明されていて、わかりがいいです。
語尾に『?』の付く言い回しを一切やめる。
これで、自分も相手も前向きに事を進めることができるし、
互いに自身を持てるということだと思います。

やってみませんか? やりましょう!
いかがですか? 素晴らしいでしょう!
調子はどうですか? 調子よさそうですね!


営業のコツという話ですが、
社会人として、仕事人としてのコツが書かれている・
しかも、平易な文章で書かれており、量的にも適量な本だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中村 信仁
感想投稿日 : 2012年5月2日
読了日 : 2012年5月2日
本棚登録日 : 2012年5月2日

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