人口論 (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社 (2011年7月20日発売)
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〈人口は、何の抑制もなければ、等比級数的に増加する。生活物資は等差級数的にしか増加しない。〉の部分だけが、よく引用されて知っていたのだが、やっぱり原著にあたるのは大切だ。なかなか味わい深い一冊。

もちろん、現代の経済学の常識ではおかしな記述は多々あるのだが、「今もまったく同じ!」と感じる部分もすくなからずあった。

結婚すると生活水準が下がるんじゃないかと危惧して結婚しない人は少なくないし、〈この国は急速に豊かになったのだけれども、労働の賃金にあてられる有効な資金はごくゆるやかにしか増大しなかった〉とは、過去30年くらいのの日本のようでもある。

〈どの国であれ、人口が停滞ないし減少しているときには、たとえその国の工業製品の面での豊かさが増進していても、その労働の賃金にあてられる有効な資金が増大しているはずはないのである〉とは、一度きちんと検証してもよいじゃないか?

性欲が不変のものとして、書かれていて、何度も登場する。が、あとがきに書かれていたように、〈あくなき性欲と日々戦ったのだろう。だからこそ、ほかの人々も彼と同じ欲望に取り憑かれていると考え、これは自分だけの問題でなく、人類全体の問題であると話を誇大化したのかもしれない〉と考えると合点がいく 笑。

本書を書いたのも若い時だし。

確かに若いころには、同じような友人もいたような…。マルサスはくそ真面目な人だったのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済
感想投稿日 : 2020年6月28日
読了日 : 2020年6月28日
本棚登録日 : 2020年6月28日

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