独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

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  • 岩波書店 (2019年7月19日発売)
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”ドイツが遂行しようとした対ソ戦争は、戦争目的を達成したのちに講和で終結するような十九世紀的戦争ではなく、人種主義にもとずく社会秩序の改変と収容による植民地帝国の建設をめざす世界観戦争であり、かつ「敵」と定められた者の生命を組織的に奪っていく絶滅戦争でもあるという、複合的な戦争だった”
”ソ連にとっての対独戦は、共産主義の成果を防衛することが、すなわち祖国を守ることであるとの論理を立て、イデオロギーとナショナリズムを融合させることで、国民動員をはかった、かかる方策は、ドイツの侵略をしりぞける原動力となったものの、同時に敵に対する無制限の暴力の発動を許した”
ー第5章理性なき絶対戦争(P220)より

世界観・イデオロギーの正否は難しいが、その幻にとらわれた陰惨な戦争が21世紀に起きている。
著者は軍事・防衛の専門家であり、内容としては戦役・軍事戦略・戦法のボリュームが大きい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2022年6月12日
読了日 : 2022年6月4日
本棚登録日 : 2020年11月8日

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