昭和61年の作品。
二千二百年前に宇宙船でこの地にやって来たご先祖様は、高度の技術を身につけた文明人。その知恵の全てを記した書物を読むために、青年ラゴスは南方大陸へと旅をする。
ご先祖の文明を引き継げなかったラゴスたち子孫は、代わりに空間転移や他者の心への感応、予知等の能力を身につけ、中世諸都市のように点在する都市や村落で生活を営んでいる。盗賊、追い剥ぎも出没し、治安はあまりよくない。
ラゴスの旅は波瀾万丈。奴隷として七年も鉱山で働かされ、目的地キチではいつに間にか王さまに祭り上げられ、帰路には奴隷商人に拉致され、帰り着いた故郷の地ではご先祖様の知恵の普及に引っ張りだこ。身に降りかかる運命を淡々と受け入れるラゴスの誠実なキャラが心地よい。
独特の世界観とラゴスのキャラが味わい深い一冊でした。ご先祖様の書物を読み耽ったラゴスの十五年間の読書生活が羨ましい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF・ファンタジー
- 感想投稿日 : 2019年3月3日
- 読了日 : 2019年3月3日
- 本棚登録日 : 2019年3月3日
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