銀行王 安田善次郎: 陰徳を積む (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2013年5月27日発売)
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安田銀行(後の富士銀行、現在はみずほフィナンシャルグループ)や安田生命(現在は明治安田生命)、安田火災海上保険(現在の損保ジャパン)の創業者で明治の銀行王、安田顕善次郎の評伝。

善次郎は銀行家として大成功し、巨万の富を築いたが、世間からは吝嗇家として知られ、しばしば守銭奴と罵られたという。しかしながら国益のために大胆な投資を行い、我が国経済の危機を何度も救った陰徳の人だった。渋沢栄一が論語の人だったのに対し、善次郎は仏教に深く帰依していたのだという(両巨頭ともに倫理の人という点では共通していた)。

安田財閥(現在の腐葉土グループ)が、金融機関を中心としたユニークな企業集団だったことや、「安田銀行の支店や系列銀行は北海道や東北、北陸に多」く、「戊辰戦争で幕府側だったこともあり、明治に入ってからの社会インフラの整備が遅れていた」これらの地域の経済振興に大きく貢献したとのことなども興味深かった。

スケールが大きな明治の偉人の評伝は、どれも面白い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 伝記・史伝・自伝
感想投稿日 : 2020年11月9日
読了日 : 2020年11月8日
本棚登録日 : 2020年11月7日

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