2001年以降、デジタル政府の施策で失敗し続けてきた日本政府。本書曰く、「デジタル敗戦」の根本原因は各官庁や自治体がデジタル人材を手当てしなかったことにあるという。
要するに、役所はシステムのことが良く分からないから業者に丸投げし、いい食い物にされてきた、ということ。本書は役所の問題にのみフォーカスしているが、より大きな問題が業者側(いわゆるITベンダー側)にあると思うのだが、それは気のせいだろうか。
下請け・孫請の高コスト体質、モラルの低さ(いいものを作るよりも、むしろ中途半端なものを作ってメンテナンスで儲けようという発想)、そして能力の低さ(これも下請け、孫請の体制と根っ子は一緒)。問題だらけだと思うのだが…。
デジタル庁ができて、IT予算が膨らんで、という流れのなかで、ITベンダー達はさぞかしほくそえんでいることだろう。行政機関が再び食い物にされないためには、やっぱり本格的な内製しかないんだろうな。業者は下請けで使うくらいでないと。特にAIの活用なんて考えたら、丸投げのアウトソーシングなんてあり得ない訳だし。とは言え、まあこれも現実的じゃないか。
デジタル政府の今後の課題は、「データの標準化」「OSSの活用」、そして「政府の政策立案とデジタル技術の活用とを両方担えるデジタル人材」の確保だというが、本当に大丈夫なのか?
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ビジネス
- 感想投稿日 : 2021年6月14日
- 読了日 : 2021年6月14日
- 本棚登録日 : 2021年6月14日
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