アラビア太郎 (講談社+α文庫)

著者 :
  • 講談社 (2016年10月20日発売)
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戦前は満鉄の社宅を一手に請け負って大儲けして「満州太郎」と呼ばれ、戦後はアラビアの石油利権の大博奕に成功して「アラビア太郎」と異名をとった男、大成功と大失敗を繰り返しながら戦前・戦後を駆け抜けた風雲児、山下太郎の生涯を描いたノンフィクション。

本書から、山下太郎氏の人となりを表す描写をピックアップすると、「豪放な事業家魂と、繊細な感情とが、ごっちゃになっていた」、「商機を見るやいなや、すばやくとらえて、イチかバチかの勝負をする」、「欲ばりすぎるところがあり、一度かかえこんだものを、なかなか吐き出そうとしなかった」、「見栄坊で、派手ずきで、外面を飾りたがる男」、「激情家で、癇癪持ちで、よく怒る男」、「いっしょにいる人に、やさしい心づかいを示す男」、「山師」、「ホラ吹き」、「ハッタリ屋」、「物惜しみしない性質」、「創意と機略と、駆け引きと度胸で生き抜いてゆこうとする型の男」、「人のつながりを大事にする」、「彼の野望は、きわまるところを知らない」、「自分が第一人者でなければ承知できない」、「交友の範囲は、おどろくほど広かった。著名な政治家や財界人で、彼の知らない人はなく」、「彼はいつも人々の先頭に立ち、華やかな脚光をあびていなければ、我慢できない男」、「向こう見ずの冒険家」、「一代の傑物」、「大山師」…。

クセが強くて、好き嫌いの分かれる人物だったようだ。彼にしかできない偉業を成し遂げた、スケールの大きな人物だったんだな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 伝記・史伝・自伝
感想投稿日 : 2023年3月12日
読了日 : 2023年3月11日
本棚登録日 : 2023年3月10日

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