世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史

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  • KADOKAWA (2018年2月16日発売)
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感想 : 21
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世界の動きとの関係で日本史を読み解いた書。古代から江戸時代までを概観している(近現代は描かれていない)。

面白かった点を幾つか。

古代において、「諸民族が興亡を繰り返したユーラシア大陸から見れば、東シナ海と日本海によって守られた日本列島は、いわば「最後の避難所」だった」。

古代日本には、福井県から新潟県にかけて出雲と並ぶ強力な地方王権「越の国」が存在しており、「大陸からもたらされる情報や交易ルートの権益をもっていた」。

壬申の乱は、単なる皇位継承の争いではなく、「親唐派」勢力(大友皇子側)と「親新羅派」勢力(大海人皇子側)の政争だった。

平安時代、「中央政府は藤原氏によって私物化され、地方長官は任地に赴かず、地方では無政府状態が続いてい」た。「いわば、いまのシリアやソマリア、アフガニスタンのような状態のなかで、有力者が武装して自警団を組織し、これが武士団に発展していった」。

「徳川家は、一国一城令、武家諸法度などを次々に発して江戸幕府の体制(幕藩体制)を固める一方、諸大名が西欧人との交易で強力な火器や硝石を手に入れることを恐れました。そのためには貿易を一元化し、徳川家の強力な管理下に置くことが必要でした。これがいわゆる「鎖国」の最大の動機です。」

「大坂の陣のあと一六二〇年代にかけて、日本人傭兵が東南アジア諸国で大きな役割を果たし、イギリス、オランダ、スペイン、ポルトガルの覇権争いにも彼らが動員され」た。


日本外交は、冷徹な計算に基づくリアリズム外交を基本としつつ、時々無謀で危うい対外積極策を採ってきたんだな。この辺の歴史の流れがなんとなく掴めて良かった。

本書中で言及されている『アダムの呪い』(ブライアン・サイクス)、『異形の王権』(網野善彦)、読んでみたいな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2023年2月19日
読了日 : 2023年2月19日
本棚登録日 : 2023年2月16日

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