図書館危機

著者 :
  • メディアワークス (2007年2月1日発売)
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感想 : 872
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「戦争」「内乱」「危機」を読み終えて。
映画「図書館戦争」を観に行った次の朝に駅前の本屋さんで衝動買い。8割、堂上篤を好演する岡田准一に魅了されて惹かれた作品ではありますが、映画化する前から有川浩代表作ということで文庫化したときからチェックしていました(言い訳)。
有川浩作品は「クジラの彼」「ラブコメ今昔」に次ぐ三作目。(自衛隊シリーズを吹っ飛ばして話題の短編集で済ませたことは有川ファンに告げられませんが)今回もベタ甘なラブコメを期待して読み始めました。
確かに、当初抱いていたイメージとは打って変わって、完全にベタ甘ラブコメの有川ワールド。もう、堂上と郁がいればまわりまわって背景設定いらないんじゃないかと思うほどに、いわゆる「ご都合主義」感満載。
しかし、ここに留まらないから面白い。
背景設定として現代「平成」である年号を「正化」とし、メディア良化法制定により検閲を行使したメディアへの強い介入がある。このメディア良化法制定の裏側にある社会は「民衆の政治的無関心」という、現代にうまく問いかける設定となっている。
作者があとがきで記すように「こんな世界になってほしくない」という思いは読者に切々と訴えかけられる。
こんな大きなテーマを、ベタ甘ラブコメで軽快に送りつつ、読者の心には重くその軌跡を残していく。
展開はどうにもあっさりと進みすぎてご都合主義と感じられるが、作品に一貫として強いテーマがある限り、この作品は読者の心に強く根差してゆくと思いました。
映画も続編を期待しつつ、(笑)
最後四作目、図書館革命に読み進みたいと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 有川浩
感想投稿日 : 2013年6月24日
読了日 : 2013年6月22日
本棚登録日 : 2013年2月4日

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