新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2007年3月15日発売)
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感想 : 163
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大河ドラマの印象が強かったので、篤姫は外の情勢に詳しく、政治的な判断を何か下していたのかと思っていた。

でも恐らくその実態は、この小説で描かれているように外の情報が入ってくる事も少なく、彼女の徳川での活動のほとんどは大奥内でのいざこざに終始したのだろうと思った。

そういう意味では、正直がっかりした感はある。

しかしながら、作者の「日本の歴史から女性が無視されてきた」という最後のコメントから伺えるように、当時の女性が公の場で影響力を持つ事は非常に難しかったのだろう。だとするなら、大奥の長になることが、この時代に女性としての最高の出世であると思うし、そこを統率し続けた篤姫はやっぱりそれに値する女性だったのだと思った。

「於一は男に生まれたらよかった」と、自分も思わずにはいられなかったけど。

明治になってから、色々といざこざのあった和宮と篤姫がわかりあうところは、何か心がほっこりしてとてもいい。
時代に翻弄され続けて、奇しくも幕末に徳川大奥で出逢った二人の女性。
互いに立場あってすれ違いが大きかった分、振り返っみると二人にしかわからないこともたくさんあるのだろうと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年2月19日
読了日 : 2012年2月19日
本棚登録日 : 2012年2月19日

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